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突然、あたりの景色が一変しだした。次々と目の前の風景が変わっていくのだ。
クラスメイトのいる教室、電気のついたままの自分の部屋、夕暮れに染まるグラウンド、真夜中の商店街、昼間の賑やかな公園、静かなプールサイド、友達と行った遊園地、学校の前の横断歩道。
私はあっけにとられた。目の前に現れては消えていく光景の数々は、すべて私がこれまでに行ったことのある場所であり、見たことのある景色だった。
「時計が、アヤカの望んでいる時と場所を探しているんだ!」
吹き上がる風とめまぐるしく変わるあたりに負けないように、大声で時間屋が叫んだ。
しばらくコマ送りのような視界に身を任せていたが、あるときぴたりとそれが止まった。
「ここは……」
自分の家の近くの公園。ブランコに、二人の少女が乗っている。二人とも満面の笑みを浮かべ、楽しそうにこぎながら話している。
「これ、私が小学校一年か二年のときだ……。左の子が私。右にいるのは、近所に住んでて同じクラスだった奈津。私たちどっちも背が小さくて、席が隣で、すぐ仲良くなったんだった」
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