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それは質問であり、謎かけのようでもあった。
なんだろう。こんな看板は今までに見たことがない。このおんぼろ家の中に、いったいなにがあるというのだろうか。
好奇心にかられ、コンコンと扉をノックする。
「どうぞ」
中から聞こえてきた声は、驚いたことに子供の声だった。
軋む扉を、ゆっくりと押す。中はほの暗くて古臭い匂いがする。
一歩足を踏み入れると同時に、私の眼は大きく見開かれた。
一目で見渡せるくらいの狭い部屋を、思わずぐるりと見渡す。電気はついておらず、窓からの光で埃が沢山舞っているのが見える。両側の壁は天井まである棚で覆われていた。大小さまざまな砂時計、地球儀、何かが入っているガラスの瓶、その他もろもろ棚一面に並べてある。床は歩くと危なげにギシギシ鳴って、棚に入りきらなかった本が積んであった。部屋の一番奥には社長が使うような木製の大きな机がどんと置いてあり、赤い布地を張った座り心地の良さそうな椅子があった。
そこに座っていた者の姿が、私を一番驚かせた。
「やあ、お客さんだね。いらっしゃいませ、時間屋へようこそ」
私をまっすぐに見て、家の主の少年は言った。
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