1.仲直りはいつの日か

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「お客様が信じられないのも無理はございません。旦那様、ここは一つ、たとえをあげてみてはいかがでしょうか」 「それもそうだ。じゃあまず、君の名前を教えて?」  唐突に時間屋は私の名前を尋ねた。 「彩花、だけど」 「アヤカね。例えば……アヤカは、あるときテストで100点満点中2点を取ったとする」 「低っ!」  いくらなんでもそんな点数はとったことがない。 「そこで、そのテストの勉強をちゃんとしてからこの店に来て、『過去』、つまりテストが始まる前へとタイムスリップする。そこで、テスト前の勉強してないアヤカと入れ替わるんだ。そうすれば、勉強してきたからすらすらテストが解けて点数が良くなる。現在に戻ってきた時、あなたの前には2点じゃなくて100点のテストが置いてあるわけ」  そんなに現実味のある説明されても、と困惑する。これじゃあまるで小説の中のおはなしだ。 「ああちなみに、タイムスリップの方法だけどね、これを使うんだ」  そう言って時間屋が目の前に差し出したのは、金色の懐中時計。普通の時計より文字盤と針の数が多い。手に取るとずっしりと重みがあり、キラキラと光る金色の鎖やたくさんの小さな傷が、ただの時計ではないことを物語っている。 「ううーんでも、タイムスリップなんて、ちょっと信じられないなあ……」     
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