第1章

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「今どき別荘の管理会社との連絡は電話やメールだし、鍵の受け渡しで会うのも受付の人間だけだ。鍵屋と管理会社の人間が同一人物とは気づかれない。大量の別荘を一社で管理する管理方法を利用した犯罪だな」  草鞋はもう片方の麦茶をぐいとあおった。 「それにしても、あれだけの情報でよく警察が動いてくれましたね」  奈津子が麦茶を受け取って言う。 「動いたと言ってもたいした手間じゃないからね。管理会社に、別荘の鍵が壊れていたら鍵屋に連絡する前に警察に届けるよう、利用者に伝えてくれと言ってもらっただけだから」 「なるほど」  奈津子は頷く。 「ま、手間を惜しんではいけないということだ」  麦茶を机に置き、草鞋は偉そうに腕を組む。そこへ、何の前触れもなく事務所のドアが開き、巡の声が響いた。 「っはよ~ございま~す。また鍵掛かってませんよ。不用心な」  奈津子が噴出した。 (おわり)
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