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脳内で忙しく策を巡らせていると、高校生達はバラバラになって、それぞれが好きな場所に移動するようだ。
彼と接触するチャンスだと思ったおれは、急いで彼を追いかけた。
誰かに盗られるなんて絶対にイヤだ!
大学が珍しいのか、キョロキョロしながら歩いている彼を見つける。
私服の大学に学ランだから目立って分かりやすい。
さり気なさを装って、彼に声をかける。
心臓は痛いくらいバクバクと高鳴っている、割とマジで。
「そこの高校生くん!よかったらおれが案内しようか?分かる範囲に限られるけど」
「えっ?あの先輩に迷惑をかけるワケには…」
「おれがお節介焼いてるだけなんだから、遠慮しなくていいよ」
おれ、ちゃんと笑えてる?
声が裏返ったりしてないよな?
本当にここが学校じゃなかったら、押し倒して身体を繋げるところなんだけど。もちろんおれは抱かれる側だよ。
「学食とか購買に行ってみる?高校とは全然違うと思うよ」
学食はカフェだし、購買はちょっと広めのコンビニだし、大学のスケールのデカさに驚いたおれが言うんだから間違いない。
「僕の学校は学食がないので、ちょっと興味があります」
「じゃ、学食からね。昼食時間以外でも、軽食とかコーヒーくらいは頼めるから。料金も安いし」
「お金かかるんですね…」
「学食はボランティアじゃないからね。それでも普通のカフェや食堂よりかなり安いと思うよ」
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