1人が本棚に入れています
本棚に追加
火災事故って怖いですよね。それも沢山の人が亡くなっているならなおさら。
地元に大きな百貨店があります。そこは地上8階地下2階で繁華街にあり、それなりに歴史もあり地域密着の百貨店なのですが……
とても雰囲気が暗いんです。
立地が良く、お客さんだって多いし、店内BGMは明るい曲で、地元のアイドルグループなんかがコラボで店内アナウンスをやったり、高級というより庶民的な方向性で、昼間は年寄りが集い夕方には女子高生が遊びに来る。
そんなお店なのに、店内にいると時々嫌な空気を感じるんです。
決定的だったのが、8階フロア全部を改装して、夕方をイメージしたレトロな雰囲気を出すレストランフロアです。
一年ほど営業した後、客の入りも悪くなかったのに突然の閉鎖宣言。
新しい企画を行うでも無く、8階そのものを封鎖してその後利用する事はありませんでした。
なぜそんなことになったのか、当時の私は知るよしもありませんでしたが、その後知り合った子が8階飲食店でバイトをしており、真相のようなものを語ってくれました。
「出るんですよ、それもいっぱい」
なんでも、営業した一年の中で多くの従業員達が幽霊の目撃情報をあげてあげく移動願いや退職者が続出、このまま放置すれば噂となって店の名前にも影響すると考えた上層部が8階そのものの閉鎖を行ったそうです。
「お客さんは幽霊がいっぱいいたって多分気がついて無いと思いますよ。ほら、あそこって昭和なレトロっぽい内装だったじゃないですか。幽霊もそんな格好の奴らばっかりで、店内に溶け込んでるんですよ、照明も暗い演出だったし。毎日通う従業員でないと、気がつかないくらいかな。なんでそんなに幽霊出るんだろうか、不思議でしたよ」
その答えは、普段から幽霊やオカルトを否定する祖父が教えてくれました。
「知らなかったのか?あの百貨店の前にあったデパート、大火災で死者を何十人も出したんだ。あまりに酷い火災で法律が変わるくらいの大騒ぎになって、有名な話だと思っていたんだが…。まあ若い奴が知るわけないか。死者多数、遺体は消し炭になって人数や身元確認すら不可能になって、未だに建物には発見されてない遺体があるんじゃないかってもっぱらの噂で、それを知ってりゃあの百貨店で嫌な感じを受けるのもしかたあるまい」
最初のコメントを投稿しよう!