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(――て。こんなオチ、納得できなーい!)
机に突っ伏しながら、納得もできなければ全然締まんないし、と。いちかは先程勝手に「完」と物語を終わらせようとした駄目作者に不満と「早く続き書きやがれ」なんて、心の中で割りと本気で叱咤する。
ふんっ、と鼻の穴から思い切り空気を押し出すと段々作者に対する苛立ちも落ち着いてくる。すると今度は数年ぶりに再会した天使のことでいちかは頭を悩ませ始めた。
(そうだ! お母さんなら皐月がこんなんになっちゃった原因、何か知ってるかもしれない!)
今朝いちかが学校に向かう直前。思い出したかのように皐月が転入してくることを教えてくれたのは母だった。
訳さえ分かれば対処のしようもある。
今日は始業式とホームルームだけの午前日課。始業式は既に済んでいるし、多分皐月らしき人物(まだ本物とは信じたくない)の紹介も終わったからあとちょっとのはずだ。
チャイムと同時に教室を出て、真っ直ぐに帰宅しよう。
「なあ、あと何分で帰れんの?」
「…………」
知り合いならと、担任の気遣いによって隣の席にされてしまった魔族系男子(?)がだるそうに頬杖をつきながら聞いてくる。
(こんな喋り方、態度。絶対皐月じゃないもん!)
我が天使を取り戻すため、いちかはチャイムと同時に教室を飛び出した――は、いいが。
「何であんたがここにいるのよ!」
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