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人は変わる。
過ごしてきた時間や出会った人。体験。経験。時間が経てば経つほどそれらは色濃く、その人の人格を形作るものだと思う。
生まれ持った本質とは別に。少なくとも絶対に材料にはなっているはずだ。
人は変わる。
けれどそれは長い時間を経てゆっくり蓄積されるものであって。ずっと一緒にいればその人の変化に気付くのも遅くなる。反対に久しぶりに顔を合わせたならばその変化は一瞬でわかったりするもので。
……そう。だから、数年ぶりに再会した幼馴染が驚きの変貌を遂げていても不思議ではなく、驚いたけれど仕方がないことなのだ。
学ランは脱ぎ、羽織っただけのカーディガン。ボタン三つ開けのシャツ。繊細で泣き虫で天使だった性格は……ある意味男らしく?(良い言い方をしてみた)
そんなスタイルにようやく慣れてきた今はもうあんな衝撃を味わうことはない、……はずだったのだが。
「姫。お手をどうぞ」
――人は昨日今日……いや、数時間でも変わるものなのか?
学ランを羽織り、詰襟までしっかりと留めている。片膝をついた皐月が手をそっと差し出してきた。
* * *
今から数時間前。
物置と化している空き教室にダンッ! という物音が響いた。
「俺のものになれよ」
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