運命の歯車は、突然回り出す

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緊張の一瞬、とはまさにこのこと。 しかし、これはとてもとても大事なこと。それを確認しないことには始まらない。 わたくしは意を決して口を開いた。 「あなたが妖精さんということは! あなたの住む世界が危機的状況に追い込まれて、世界を救う伝説の魔法少女をこちらの世界に探しにきたということで間違いございませんの!?」 人間の世界に妖精さんが現れたとなれば、当然! 先ずは妖精さん世界のピンチを疑うのは魔法少女ファンとしての常識! というかそれ以外に考えられない! 確信を持ってその質問を投げかけたのだ。 「あはは、そんな大袈裟な。世界が滅びるとか、流石にそういうのはないよー」 「そんなぁ!? あなたは魔法の国の王様から遣わされた使者的なやつではありませんの!?」 予想を大外しして赤っ恥。 いやしかし、世界の危機でなければどうして妖精さんがこちらの世界に……。 「違うよ、私は魔法の国の動物園、ワンダー・ズーの飼育員。名前はルルだよ」 「飼育員!? 飼育員さんが何故こちらの世界まで!? なおさらわけがわかりませんわ!」 いきなりファンタジーもマジカルもない職業を耳にすることになるなんて、思いもよらなかった。 妖精さんという存在そのものが充分ファンタジーなのだが。 「それがね、うちの動物園で原因不明の事故があって、飼育してた魔法動物たちが逃げ出しちゃったのさ。その一部がこっちの世界に来ちゃったみたいで、私はその保護にきたの」 「とんでもない不祥事ですの……」 もしもこちらの世界でそんな事故が起きたら閉園不可避。きっと妖精さんの世界でもすごいバッシングを受けてるんだろうなぁ。 「でも誤算だったのが、人間界の空気だよ……どうやら私たちは、こっちの世界だと通常より多くの魔力を消費しちゃうみたいで……」 「それでガス欠を起こして墜落したと。把握しましたわ」 おっとこの展開は? 少し流れが変わった。 これはもしかして。いや、きっとそうに違いない。 「やっぱり、こっちの世界の人に協力してもらうしか……」 「はいはいはい! わたくしが! 是非ともわたくしに協力させてほしいのですの!」 「すごいがっついてくるねキミ!?」 幼い頃からずっと夢見た魔法の世界と関われるせっかくのチャンス、逃すわけにはいかない。 わたくしは尋常じゃないやる気をアピールするも、妖精さんは若干引いているようだった。
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