運命の歯車は、突然回り出す

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しかし、相手に引かれたからと言ってなんだというのか。 そっちが引くのなら、むしろこちらは押せ押せで攻めるべき。そう、一度獲物に食らいついたら決して離さぬ人食いワニのように。 「きっとわたくしなら、ルルのお役に立つことができますわ! 是非ともわたくしを協力者に!」 「ま、まあそこまで言うのなら……こっちとしては願ったりだけど。妖精とか魔法の話をしても、あまり動揺していないみたいだし」 「いつかこういうことが起こった時のためにと、脳内シミュレーションは万を超える数をこなしてきましたわ!」 「変な子に見つかっちゃったかなぁ……」 変な子とは失礼な。わたくしはごく普通の小学生だというのに。 なにやら妖精さん……ルルの表情は不安げに曇っているように見えるけど、それはきっとわたくしのせいではないはず。たぶん。 「自己紹介が遅れましたわね。わたくしは森杉天子……テンコとお呼びくださいまし」 「テンコ……か。うん、それじゃあ、これからはテンコのところで厄介になるよ。よろしくね」 ここまでは怖いくらい順調に話が進んでいく。 このままいけば、きっと魔法少女に変身できる時も近い……! 「あ……チャイムが鳴ってしまいましたわ」 「そっか、ここは学校なんだね。じゃあテンコ、私は外で待ってるから授業に……」 もう休み時間が終わってしまった。やはり楽しい時間はずいぶん短いように感じる。 さあ、早く教室に戻らないと。 「……降りられませんわー! 高くて怖いですの!」 「ええーッ!?」 そういえば、今わたくしは木の上にいるのだった。 さっきまでは夢中で気にならなかったけれど、いざ降りようと下を見てみると結構な高さ。活動的な方とは言い難いわたくしにとって、足のすくむ高所だったのだ。 「あー、もう完全に授業は遅刻ですの! でも怖くて降りられないですのー! ルルーっ、なんとかしてぇーっ!」 「早速ものすごく頼りにならなそうな姿を見せてくれるねキミは! もう、こうなったら一足早いけど、魔法の力を授けるしか……!」 キタコレ! 思わぬハプニングに見舞われはしたけども、災い転じてなんとやら! まさか出会って5分で魔法少女に変身できるチャンスがやってくるなんて! 「ええ、やってくださいまし! ルルっ!」 「なんでそんなに嬉しそうなんだいキミは!? 遅刻してるってことわかってるの!?」
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