運命の歯車は、突然回り出す

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そういえば確かに、この着地の参考にしたお兄ちゃまが見ていた映画は、アメコミ? の実写ヒーロー映画だった。 まあでも無事だったし、最近の魔法少女はヒーローみたいな側面もあるしセーフ……だよね、うん。 「ともあれ、早く教室へ戻らないと! 名残惜しいけど、変身解除ですわ!」 変身したときは結構時間が長く感じたものだけど、解除するときは本当に一瞬。 制服姿に戻ったわたくしは、廊下は走らないという一年生でも知ってるルールを破って、5年2組の教室へと駆けたのだった。 「そういえば、ルルはどうしよう……」 「あ、私なら学校終わるまでその辺で暇つぶしてるよ。人間界の動物も見てみたいし」 「それはダメ! また魔力切れで墜落したらどうするつもりなんですの!?」 「うっ……テンコにそれを言われるとキツい……」 「わたくしのことをなんだと思っていますの!?」 一体ルルの中では、わたくしはどんなダメな子のイメージなんだろうか。流石に心外である。 空腹で行き倒れている子もわたくしは大概だと思う。 「んー……そうだなぁ、じゃあテンコの制服のポケットに隠れようかな」 「狭くて暑苦しそうですわね。辛くなったら合図を送ってくださいまし」 「ありがとう。テンコは変な子だけどいい子だね」 そんな会話を交わしながら、ルルはわたくしのセーラーブレザーのポケットの中へ。 ぱっと見では、意外と何かが入っているとかわからない。気を付けていれば、学校内でもルルのことを隠し通せるだろう。 そんなこんなで、やっとの思いで教室に到着。 おそるおそる戸を引いてみると、授業中にしては騒がしい。どうやら先生はまだ来ておらず、自習時間になっているようだ。助かった。 「テンコ遅いよー! どこまで探してたのー?」 「ハンカチ、見つかった?」 「え、ええ、ハンカチはちゃんと見つかりましたわ。ご心配おかけしましたわね」 席に座ると、前と隣のサチとメイに話しかけられたけが、なんとか誤魔化せたようだ。ハンカチを落としたなんて嘘っぱちだけれど。 ……嘘を吐くのは心苦しいのだけれど、これは仕方がないこと。 何故なら、わたくしはもう魔法少女になってしまったのだから! 魔法少女は、決して他の人にその正体を知られてはならない。誰でも知ってる常識ですわ!
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