運命の歯車は、突然回り出す

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「とにかく変身して! 説明はそのあとに!」 「そ、そうですわね! それでは本日二度目の変身っ! ですわー!」 事態は急を要するらしく、ルルは焦った様子で変身を促してくる。 何かあってからでは遅いので、わたくしも言われるままに変身……なんかさっきよりもスムーズに変身したような気が。 「あら、もう変身完了ですの?」 「最初の1回目はね、魔法少女契約における大事なステップだから。2回目以降、急いでる時とかはスキップできるんだよ。便利でしょ?」 「そういう事情はあまり知りたくなかったですわ!」 こう、急に現実的なことを挟んでくるのはなんなんだろうか。魔法界も、思ったよりメルヘンでファンシーな世界というわけではないのかも。 ともあれ、現場に急行しなければ。わたくしは足にぐぐっと力を込めて、大きく跳躍。一瞬で最高到達点に達すると、背中に翼のイメージを作り出す。 「やった、飛べましたわ! 案外、ぶっつけでできるものですわね!」 「やっぱりテンコには才能あるよ! きっと初めての魔法動物捕獲作戦もうまくいくはずだよ!」 わたくしの肩に乗るルルが、耳元で褒めてくれるおかげで、モチベーションもアップ。 だけど、まだまだわからないことも多い。不安がないと言えば嘘になる。 「ですが、魔法動物たちをどう捕まえれば……」 「そんなに不安がらなくても大丈夫! 魔法動物園の子たちはみんなおとなしい子ばかりだからね。あ、魔力反応が近づいてきたよ、一度降下して」 「了解ですわ!」 その言葉を聞いて少し安心した。まあ確かに、動物園の不祥事のせいで、違う世界の女の子を危ない目にあわせるとは考えにくいし、意外と簡単なお仕事なのかもしれない。 わたくしとしても、そっちの方が都合いいし。 さて、ルルに指示された降下地点は、私立汪眞大学附属中学校の校舎裏。クロお兄ちゃまの通う学校で、わたくしの小学校と同じ系列だけど、校舎は初等部校舎と中等部高等部合同校舎で分かれている。 なので、あまり訪れる機会がなかったりする。 「中学校は、まだ授業中っぽいですの。人気がないのは幸いですわね」 「そうだね、人に見られなくて済むし……って強力な魔力反応あり! テンコ、避けてーっ!」 「うぇぇぇっ!?」 ルルの掛け声に応じて、咄嗟に後ろへ跳ぶと、さっきまでわたくしのいた場所に大きな衝撃と砂埃が立つ。 ずいぶんお早いお出ましですの……!
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