運命の歯車は、突然回り出す

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「ごちそうさまー! ですわ!」 わたくしは一足先に食事を終えると、自分の食器を流し台に持って行く。 そして空いている席に掛けておいた学習鞄を手に取って玄関へ。指定のローファーを履いたら、すぐにお外へGo。 「クロお兄ちゃま、マオお姉ちゃま! お先に行ってきますですわ!」 「いってらっしゃい。車に気をつけろよ」 まだ食事の最中だとしても、お兄ちゃまとお姉ちゃまはわざわざわたくしを見送りに玄関まできてくれる。いつも手を振って送り出してくれるから、わたくしも元気よく手を振り返しますの。 二人の通う中学校と高校は、わたくしの小学校よりも登校時間が少し遅いから、食器などを洗ってからお家を出ているそう。お兄ちゃま、朝からご苦労さまです。 「ん~っ! 気持ちのいい風ですの」 ぐぐっと伸びをして、カチカチになった体をほぐす。これもある意味で1日のルーティーン。 家を出たその瞬間から、私立汪眞大学附属小学校五年一組、森杉天子(テンコ)の学校生活がスタートする。そのための切り替えの意味合いもあったりなかったり。 新学期が始まって1週間が経つけれど、基本的には四年生の頃となんにも変わらない。ごくごく普通の四年生から、ごくごく普通の五年生に肩書きが変わったくらいで。 普通と言っていいかわからないところは、五年生になった今でもお姫様だとか、魔法少女だとか、ちいさい頃の憧れが捨てきれていないということ。 それもこれも、わたくしが一年生の頃に放送していたアニメ、『ふたごのマジカルプリンセス フィアとフィナ☆★』があまりに名作すぎるのがいけませんの。双子のお姫様にして魔法少女の二人が、共に悪を討ち、時には対立したり……涙なしには語れない。未だに月一で全シリーズ一気に見返したりしている。お姉ちゃまと一緒に。 「おはよう、テンコ。今日も、ごきげん、だね」 「あっ、メイ! おはようございますですの!」 通学路の最初の信号で、ばったり出会ったふわふわショートヘアーがとっても可愛い女の子。 近所に住んでいて、親同士が仲が良くて、昔からの幼馴染の彼女の名前は家入芽衣(メイ)わたくしと同い年の小学五年生。 当然わたくしと同じ学校に通っていて、しかも今年は同じクラスに在籍している。こうして共に登校することが多くなるのも必然ですわね。
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