運命の歯車は、突然回り出す

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しかし、いざ授業が始まると、ルミ先生はしっかりと授業をしてくれるので安心だ。 おとなしいメイはもちろん、賑やかし役のサチですら集中して、一生懸命ノートを取っている。 当然わたくしも、必死に黒板を写す。けれど、昨日お姉ちゃまと夜にアニメを見ていたせいで寝るのが遅くなったせいか、少しだけ眠くなってきた。 夜更かしして授業に身が入らないなんて以ての外。きちんとやることはやらないと、お兄ちゃまにも叱られてしまう。 わたくしは、ほんの気分転換のつもりで、窓から青い空を見上げた。ゆったりと白い雲が流れていく、すがすがしい快晴。 うん、この空を見ていたらやる気が出てきた。ばっちり集中力も回復ですわ! そろそろ授業に戻ろう、としたその時。 「……なに、あれ」 空に、きらきらと光の粉を散らしながら、不規則な軌道で飛んでいくなにかを発見した。 そしてそれは、ゆっくりと降下していき……校庭の木に落下して、消える。 「UFO……? わたくしの見間違い……では、なさそうですわね……」 どうやらそれに気付いているのはわたくしだけのよう。みんなは授業に集中しているのに、わたくしだけが、それを見た。 ああ、気になる! あのきらきらの正体はなに!? こうなってしまったら、授業どころではないですわよ! 「はーい森杉さーん? 先生の方見てね~? ぼーっとしてないで、授業に集中集中~」 「……はっ!? ご、ごめんなさいですわ!」 わたくしが集中できていないこと、先生にはバレバレだったようで、口頭で注意を受けてしまった。 そのおかげで、クラス中からの視線を一気に浴びて恥ずかしい思いをすることに……わたくしの自業自得だけど。 「めずらしい、ね。テンコが、注意される、なんて」 「うぅ……ちょっと、寝不足気味なだけですわ。なんでも、本当になんでもないですのよ」 隣の席のメイが、小声でわたくしに話しかけてくる。 心配させてしまったのかしら……それは定かではないけれど、もしそうであればその必要はないよ、ときちんと伝えておいた。 いくら優しいルミ先生といえど、二度目は許してくれるかどうかわからないから、授業はちゃんと受けるけれど……やっぱり、わたくしの頭の隅には、あのきらきらのことが焼き付いて離れなかった。
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