運命の歯車は、突然回り出す

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小さな妖精さんは、体長は目測で15㎝ほど。枝に引っかかってぐったりしているようだ。 一体全体なにが起きているのかはさっぱりわからないけれど、こんな状態の妖精さんを放置しておくわけにもいかない。 わたくしはゆっくり枝を這うように妖精さんに近付き、そっと右手を伸ばす。 「もうちょっと……!」 ギリギリではあったが、なんとか妖精さんを手のひらに保護することができた。 鮮やかな金髪を短いツインテールにした、お人形のようにきれいな妖精さん。落下する際に枝で切ったのか、ところどころ擦り傷も見える。 そんな彼女は、わたくしの手の上で目を覚ました。 「うぅ……ここは……?」 「目が覚めましたのね! 大丈夫ですの?」 妖精さんが心配で、顔を近づけて覗き込むように。 すると、びっくりしたのか妖精さんは飛び起きた。 「うわぁ!? に、人間だぁ!?」 「きゃっ……」 手のひらから飛び立ち、わたくしから距離を置いて飛翔する。やはりさきほどのきらきらは、この妖精さんだったのだ。 「大丈夫ですのよ、わたくしは妖精さんを取って食べたりしませんので。あなたが木に引っかかって気を失っていたものですから、つい心配で……」 「あ……そうだったんだ。ごめんね、大声出して」 ちゃんと説明すると、あっさりと誤解も解けた。 思ったよりパニックにはなっていないらしい。ちゃんと会話もできるみたいだし。 「それはそうと、なんでこんなところに倒れていたのです?」 「えっと……お恥ずかしながら、お腹が空いて、魔力も切れて……ふらふらっと墜落しちゃった」 「そういうことでしたら! わたくし、ちょうどチョコレートを持っていますの! どうぞ、これをお食べになって!」 「わぁ……! いいの!? 甘いものは魔力の源! 妖精はみんなチョコレートが大好きなのさ!」 わたくしが何故倒れていたかと尋ねると、妖精さんは大きなお腹の虫と一緒に理由をこたえてくれた。 その言葉でスカートのポッケに入れていたチョコレートのことを思い出し、それを差し出すと、妖精さんはペロリと平らげてしまった。 「ふぅー、お腹いっぱい! キミのおかげで助かったよ、どうもありがとう!」 「どういたしましてですわ! ……それでもう一つ、重要なことを伺いたいのですけれど」 そう、わたくしにとっては、今からする質問が何よりも大事なこと。 自然と空気も真剣なものに変わっていった。
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