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一、ある昼のひと時
次の日の学校の昼休み。
俺とかなたはジャージ姿で柔道場に来ていた。
「明境会?」
「そう。前にここで愛氣達と集まって稽古していたんだ」
俺は宍戸兄弟達と闘うために、みんなで特訓したことなんかを話した。
「やっぱり愛氣先輩って凄いんですね。高校生まで投げちゃうなんて」
「だろ? あいつのはただ強いっていうんじゃなくて、なんかこうスゲー輝いてるっていうかさ、とにかくもう凄いのなんのって……」
ふと、かなたを見るとなんだか暗い顔をしている。
「いいな、ちゃんと一緒に稽古出来る仲間がいるって……」
「かなた……」
そうだよな。
かなたは稽古って言うより、ただ一方的に痛めつけられただけだもんな。
「そうだ。かなたも明境会に入ればいいじゃん」
「え? いいんですか?」
「当たり前だろ。今度、他の仲間も紹介するよ」
「ありがとうございます!」
かなたの大きな瞳が輝いた。
その後、ふたりで受け身や小手返し、四方投げの稽古をやった。
かなたもかなり速く動けるようになって、投げも受け身も凄い上達ぶりだ。
やっぱり武道経験者はコツを掴むのが早いんだな。
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