0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ハァハァ、ちょっと早いけどこの辺 にしとこうか?」
「わたしならまだ大丈夫ですけど」
いや俺が疲れちゃってるんだよ。
愛氣と言い、かなたと言い、なんてタフな女の子達なんだ。
「明日から亮達も呼んで昼休みの稽古も本格的にやるからさ」
「亮? それって先輩と同じクラスの大隈亮先輩ですか?」
「そうだけど。知ってるの?」
「だって大隈先輩ってちょっと女子の間で人気あるんですよ」
「え? なんで?」
「だってジャニーズ系のイケメンじゃないですか」
え!?
少し長めの茶髪に、高めの鼻、整った顔立ち。
眉毛も手入れしてるみたいだし……。
確かに言われてみれば亮は『イケメン』の部類に入るかも知れない。
「楽しみだなぁ。一回話してみたかったんです」
「そう」
俺はそっけなく答えた。
「あれ? 長尾先輩、どうしたんですか?」
「別に」
「あれ? もしかして妬(や)いてるとか?」
「な、なんで俺がかなたに妬かなきゃなんないんだよっ!」
「そうですよね~。先輩は愛氣さんひとすじですもんねぇ~」
「コラッ!」
「わ~先輩が怒ったぁ」
かなたは俺を見ながら柔道場の入り口のほうに走って行く。
「待てよ」
最初のコメントを投稿しよう!