瀬名家

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***  プルプル食感が最高の葛切りとミニサイズの抹茶パフェを食って買い出しを済ませてから瀬名家に戻ったらお出迎えされた。モフモフの可愛い二匹に。  ココによる激しいスリスリは幸せ百パーセントでしかなかった。キキの甘えたようなニャァンという声は俺の顔面の筋肉という筋肉をテロテロに溶かすのに十分だった。  二匹の猫に悩殺されながら午後の時間も過ぎていった。  庭で作っているトマトとかナスとかは好きに取っていいということで事前に承諾を得ていたらしく、二人で収穫している最中もキキココはそばにいた。  狩りの真似事でバッタを追いかけてココはビョンビョン跳ねていた。そんなココを見守るキキも、時々何かに気づいたように地面をじっと観察していた。ちょいちょいと素早くつついているのを横からそっと見下ろしてみたら、小さなイモムシを殺さない程度に甚振っている最中だった。  小さいながらも豊かな菜園を作ったのは瀬名さんのお父さんだそう。採れたての野菜を食べたいと言い出した最愛の奥さんのために一からコツコツ頑張ったらしい。  俺のちょっとした一言によって転職を決行しようとする瀬名さんの気質はやはり遺伝だと思う。
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