隣人とゴハン

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 つくづく分からない。考えれば考える程に理解からは遠のいていく。  気の利いた行動をさり気なく取れるし、偉ぶらないし優しいし。恥ずかしいだけの言葉であっても、瀬名さんが言うと無理がないどころかスマートにキまって超似合う。  ついこの前に知った勤め先は結構な大手だった。しかし本人はそれを鼻にかける様子もない。  外見にだって文句の付けどころは見当たらず、中身は冷静で物腰柔らか。そこには常に大人の落ち着きがある。完璧だ。腹が立つほどのいい男。  分かる訳がない。この人であれば引く手あまただろうに、それがどうしてわざわざ俺に。男のガキなんかに目を向けるのか。 「遥希」  ぼんやり考え込んでいると唐突に名前を呼ばれた。顔を上げればすぐに目が合う。 「そろそろ惚れてきた頃か」 「フライパン投げつけますよ」 「悪かった。黙る」  ときどきバカな事も言うけど。
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