酸っぱいやつと甘いやつ

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 荷物を受け取ったのはついさっき。それから少ししてインターフォンが鳴らされた。  ズカズカと歩いていった先で出迎えてみればそこにはもちろん瀬名さんの姿。スイーツ店の紙袋を持って、今夜もそこに立っている。 「よう」 「……どういうつもりですか」 「今日はフィナンシェにしてみたんだが」 「だからそうじゃない。また大量に届いたんですよ、食材が」 「送ったからな」  いけしゃあしゃあと。人の気も知らないで。  この男のせいだ。全部こいつが悪い。この人のせいで俺は今、とてつもなくカッコ悪い。 「……知ってたんですか」 「何が」 「…………食材全部使い切ったの」 「いや。単にそろそろ頃合いかと思って」 「え?」  キョトンとした反応をされて俺もキョトンと聞き返していた。だって俺はてっきり、全部バレていたのだと。だからまたこうして送りつけてきたのだろうと。  ハッとして口を閉じた。だがもう遅い。言わなくてもいい事を言った。瀬名さんは軽く首を傾げ、視線を逸らす俺を追い詰めた。 「ずっとなかったのか?」 「…………」  なかったよ、ここ三日くらい。ミスったちくしょう。全然バレてなかった。  この人は食材の残量を推測して注文してくれただけ。俺は勝手に墓穴を掘っただけ。
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