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「そうだね。ちょっと変だったよね」
「去り際にポツリと『この記憶さえあれば』なんて言ってましたけども……」
「すぐにでも忘れた方が良いんじゃないかな」
僕もピンと来てないけど、たぶんロクでもない話だと思う。
聖職者相手になんて事を言うんだか。
……そういえば、この子は一応聖職者なんだよなぁ。
これまでの態度のせいで、たまに忘れそうになるよ。
「レインさん。どうですか?」
「どうですって、何が?」
「ここいらで1度、荒れ狂うオオカミになってみませんか?」
「うん、ちょっと何言ってるかわかんないな」
「言い方を変えましょう。若さゆえの過ちをここで……あら?」
「オリヴィエさん、大丈夫?」
立ち上がろうとした彼女がお湯の中に倒れ込んでしまった。
体を起こさせると、妙に頭をフラフラとさせている。
「湯あたり、でしょうか? なんだか頭が……」
「そうなんだ。もう出た方が良いね」
「体から力が抜けてしまって。おぶって貰えませんか?」
「わかったよ。無理しないでいいからね」
「どうもすみません」
いつもの感覚で安請け合いしてしまったけど、彼女は一糸纏ってない姿だった。
それはつまり、ダイレクトという事だ。
何がとは言わないが、直に当たるのだ。
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