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もちろんオリヴィエの方なんか見れないから、明後日の方に顔を向けながら。
タオルを腰に巻いて、僕は準備を終えた。
「オリヴィエさん。僕はもう大丈夫だよ」
「私もです。行きましょうか」
僕が先頭になって浴場に向かった。
オリヴィエは僕の後ろにピッタリと付いてくる。
なんだか様子がおかしいな。
「ねぇ。どうしてそんな歩き方なの?」
「それは周りのお客さんへの配慮の為ですね」
「どういう事?」
「私は今完全なる裸族ですから。レインさんの影に隠れないと見えてしまいます」
ええー何それ?!
こういう時は普通、体に何か巻くでしょう?
それにそんなに近くを歩くから……。
ふにゅん。
当たった!
今なんか柔らかい何かが当たったよ!?
「レインさん。これが俗に言う『たまんねぇ感覚』ってやつです。いかがですか?」
「俗に言うったって、僕は初耳なんだけど?」
気が動転して的はずれなコメントを返してしまった。
まぁ冷静だったとしても的確な解答なんか出来ないけどさ。
幸いなことに、入浴者は他に2人しか居なかった。
どちらも地元の人らしきお爺さんだ。
若い人が居なくてホッとした。
「時間帯の関係かな。お爺さんしかいないね」
「そうですね。若い女性が居なくてよかった」
「あれ、男性じゃなくて?」
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