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「そうですが……もしかして男性の体の方が見たいタイプですか?」
違います!
僕はそういう人ではありません!
今のは僕の視線の先を気にしてのコメントだったのか。
気まずくなり出した空気をごまかすように、僕たちはお湯に浸かった。
「ちょっと熱いけど、気持ちいいねぇ」
「そうですね。1度慣れてしまえば良い具合ですね」
旅の疲れが溶けていくような心地だ。
体も弛緩しきって、自然と手足が投げ出される。
オリヴィエも同じ気持ちなのか、とてもリラックスしているみたいだ。
「あら、これはいったい……?」
「うん? 何かあったの?」
「あちらのお爺さんたちの様子が……」
「あー……うん。どうしたんだろうね」
先客の2人の様子が確かにおかしかった。
ひとりは空を見上げて涙を流し、もうひとりは震える両手を高く掲げている。
やたらプルプルしてるけど、それはガッツポーズで良いんだろうか。
「本人に聞いてみましょうか?」
「いや、そっとしといた方が良いと思うよ」
「何やら『生きてて良かった、冥土の土産が出来た』と言っているようですが……」
「絶対そっとしといた方が良いよ」
それからその2人はこちらに深々と頭を下げて、風呂からあがっていった。
今の態度はどう受け止めたらいいんだろう。
「変わった方々でしたね」
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