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「解決をするといっても、当ては全くありません。ですから、あなたの旅にしばらくご一緒させてもらえませんか?」
「旅ったって、僕にだって当てなんかないよ」
「構いませんとも。足手まといにはなりませんから、どうかお側に置いてください」
真っ直ぐな笑顔だなぁ。
今までの苦労のせいか、少しだけ疑いの目で見てしまうけど。
でも、シスターってことは回復魔法が使えるはずだ。
こっちとしてはむしろお願いしたいくらいだ。
「さっきのを見たでしょ? 大変な毎日になるよ?」
「承知の上です。苦難にあっているあなたに出会えたことも、きっと神の思し召しです」
この国に転生して、初めてまともな人と出会うことができた気がする。
二人と一匹の旅はこうして始まった。
未来がほんの少しだけ、本当に少しだけだけど、明るくなった気がした。
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