河童の里で栗拾い

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「うわぁ……凄い」 広いお城全体を使ってプロジェクションマッピングと花火のコラボなんて、こうちゃん達ならではと言いたいし、遊園地に来たみたいにワクワクしてしまう。 「豚の世界のも良かったけど、ここのも素敵だね」 「うん、なんか夢の国に来たみたい」 子供の頃に遊園地に行った事がないので、初めてのワクワクする気持ちに十歳くらい若返った気持ちになる。 イナリ達も花火というよりは映像に興味を持ったのか、お座りをしてライトを目で追っていた。 「誰にでも特技ってあるもんだね、改めてこうちゃん達を見直したよ」 興奮気味に褒めていると滋さんが突き刺さるような視線を投げてきたが、気づかないフリをして、今だけでも夢の国を楽しんでいたかった。 ケーキを口に運ぶと濃厚なカボチャとチーズケーキのタルトで、栗に続き秋の味覚第二弾も最高に美味しい。 今回も色々あったが目の保養とお腹が美味しいもので満たされると、何となく辛さが薄れていくのは、貧乏生活をしてきたおかげなのかもしれない。 花火を室内の特等席で堪能出来るという夢の時間が終わりを迎える頃、蕩尽さんがコーヒーを運んでくれ、後は帰ってゆっくり余韻に浸ろうとイナリを膝に乗せていた。 「透水様からのご伝言ですが、飾磨の処分は今後の動向によって変わるが、すぐに始末はないとの事です」 もしかすると朧が何らかの口添えをしたかもしれないし、自らが預かるのを引き受け、飾磨の命を預けられたかもしれない。 それ程狐人間のトップの朧は、神だと他の世界からも一目置かれているし、仕事柄色んな世界の者と接点もありそうだ。 「あと……坊ちゃま達も、又ゆっくりと挨拶に来るようにと仰ってました」 「はい、分かりました、こちらに伺う時は事前にメールすると伝えて下さい」 全部蕩尽さんに任せて部屋から出て来ないのは相変わらずというか、言い方によっては仕事熱心なのかもしれないが、ボンボン育ちの甘えに思えた。 部屋の中で扉を出しそのままパネル部屋に戻ると、消毒の通路を通りシャワーと着替えを済ませ、木村さんの顔を見てホッとして挨拶を返す。 コーヒーとイナリ達のご飯準備してるよと言われ、指示された部屋に入ると、テーブルの上に藤井屋の箱が入った紙袋も用意されていた。
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