花火大会の前に

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昼に目が覚めると木村さんからメールが入っていて、次の仕事も河童の世界だけど、花火と栗のおまけつきの文字で引き受けたのが分かる。 四日間の休みはダラダラ過ごすと決め、のっそりと身体を起こしリビングに入ると、妹と母がチャンネル争いをしていた。 「たまには普通のテレビ見せてよ、時代劇か洋画ばっかでさ、休みの日くらい自由に見たい」 各部屋にテレビはあるがそういう問題ではないらしく、瑠里は情報番組を見たいのに、朝からずっとチャンネルが変わらないらしい。 「ちょっとは譲ろうよ、年寄りも世間のニュース知っておかないと、近所で強盗でもあったらどうすんの?」 王子達がいる時はいいが一緒に仕事場に行くと家は母一人だし、何かあってもメタボ体型では素早く動けず、腰を抜かして終わりな気がする。 「スマホでチェックしてるけど、最近は色んな事件あるからね」 母を心配してという理由なので渋々チャンネルを変えていたが、間が悪く料理コーナーだったので、軽く回しているとサスペンスが始まろうとしていた。 「いやいや、結果自分が見たい番組を移動しただけじゃん!」 時代劇と洋画や海外ドラマは専門のチャンネルだが、このサスペンスは再放送で何度か見た事がある。 普通の番組だとサスペンスに固定されてしまうので、同世代のバイトの子と話が合わなかったのも納得できる。 今のサスペンスは、犯人だと思っていた奴が殺されてしまったり展開が大きく変わる話が多く、母世代は目が離せないようだ。 保険調査員のシリーズだったが、結局スナック菓子を食べながら皆で見る羽目になっていた。 晩御飯を食べると瑠里はキセロと部屋で忍者探偵ⅩのDVDを見て、私は母とイナリで洋画の監獄から脱走する囚人の話に集中していた。 ダラダラと過ごせたものの、母はほぼテレビを見ていると判明したので、スポーツジムにでも通わせた方がいいのではと妹と相談した。 月に数回行くだけでも、あの体型なら何か変化がありそうだし、仕事が休みの日なら私達が王子を見る事も出来る。 もしかすると木村さんやハツさんがいい所を知っているかもしれないので、職場に行った時にでも聞こうと話が纏まった。 休みの日はすぐに過ぎてしまうもので、夕飯のおにぎりを食べてデニムに履き替えていたが、泊まりになる事を母は手当がつくと喜んでいた。
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