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とある神社のお祭りに、へんてこなお面を売る屋台があった。
「なぁなぁ、おじちゃん」
「ん? おお、いらっしゃい。どれにするね?」
「あのさぁ、これってなんのお面なん?」
「どれだい? あ……へぇー、ボウズ、こいつが見えるのかい。こりゃあ驚いた」
「なんで?」
「いや、こいつは普通、ボウズのようなもんには見えないからなぁ」
「なんで?」
「なんでって、それは……まぁ、しゃーないか。ボウズ、いいか、ボウズにだけ特別に教えてやる。でも、他の人に言っちゃあダメだぞ、ここだけの秘密だ」
「うん、わかった」
「約束だぞ。……いいか、こいつはな、妖怪のためのお面なんだ」
「妖怪?」
「そう、妖怪だ」
「うっそだー。妖怪なんていないって母ちゃん言ってたよ」
「嘘じゃねぇよ、妖怪はちゃんといるんだぜ、お得意様だ」
「オトクイサマってなに?」
「え? あー、大切なお客さん、かな」
「ふーん」
「本当だぞ、妖怪はちゃんといる。だからこのお面を置いてるんだ」
「どうして?」
「妖怪が人間のフリをするためさ」
「どうして?」
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