ぎゅってして。

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「痛くないか、コヴィ」 「痛く・ないっ、早く・きてっ」  哀願するような艶のある声が上がる。セックスをコントロールする事など容易い筈だったが、堪らずに私は、最奥まで突き入れた。  突き当たりまで入れても少し余ったが、角度を調節し前立腺を擦って突き上げ出す。 「は・んっ・アッ・アァッ」  ペチペチと、微かな音が聞こえている。反り返った若いコヴィの雄が、私に揺すり上げられ腹筋に当たって跳ね返る音だ。  何年も『仕事』として行ってきたセックスに、私は初めての興奮と悦を感じていた。  再び前に手を回して、揺れるコヴィの分身を掴んで捻りを加えて扱き出す。後ろだけでも大声を上げていたコヴィは、高く叫ぶようにして喘いだ。 「やぁっ! だ・めっ・イくっ!」 「イけば良い。思い切りイけ」  ただでさえキツいコヴィの内部が、私の形にピタリと添うようにして締まり上がった。 「く……一緒にイくぞ、コヴィ」  大きく前後に腰を使うと、コヴィが泣き声を上げた。そして私たちは、脈打つようにして同時に絶頂を迎えていた。 「あぁん・イイっ! シリウス・大・好き──……!!」 「愛している、コヴィ……!!」  思わず言葉が口を突いた。私は……何と言った?  後ろから、泣きじゃくるコヴィを抱き締め、瞳を閉じて考える。イく瞬間の戯れ言、と片付けてしまうのは簡単だった。  だが、セックスがこれほど気持ちいいものだと初めて感じたのも確かだった。身体だけではなく、心も伴っていたから? そう考えるより他になかった。 「あっ」  楔をコヴィから引き抜いて、横向きに向かい合って横たわらせる。巻き毛の前髪に、長く長く口付けた。chu、と微かに音を立てて離し、溢れる涙を親指で拭う。 「大丈夫か?」 「ん……気持ち、よかった……」  涙の粒が光る長い睫毛を上げると、コヴィは笑った。寂しそうに。 「恐くない、って分かったから、これで働ける……アンタが最初で良かった。絶対忘れない」  働く? 嗚呼そうか、客を取るのが恐いと言っていたから、抱いたんだったな。そんな基本的な事さえ忘れるほど、私はコヴィに心酔していた。
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