今では、まるで漫才コンビ

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十年以上前の話である。 青森に住むノンさんの所に、電話がかかってきた。昔なじみターさんである。 どうした?と訊くと、俺、今から死ぬんだと言う。 びっくりしたノンさんが尋ねると、もう何日も一家で、フェリーの中で過ごし、もうお金無くなっちゃったから、函館で降りたと言う。岸壁から身を投げるつもりで、最後に残った270円で、何故かノンさんの声が聞きたくなったと。 ノンさんは、一生懸命説得した。函館にいるなら、海峡線乗って、青森まで来いと。もうお金無いんだ。乗れないよと言う。それなら、とにかく乗れ、青森駅で待ってるから、乗車賃は払うからと。 青森駅で出迎えて、何日もまともに食べてないと言うので、まっすぐ食べ放題の幸楽苑に連れていった。 今夜から、泊まる所もないと言うターさん一家を、ノンさんは、自分のアパートの部屋に住まわせ、自分は、他の空き部屋に移った。 ノンさんから連絡を受けた、近所の人達が、布団やら何やら運んで、ターさんは、青森の人になった。 二人は、今は、漫才コンビのように明るく、掛け合い話をする。聞いてて、楽しい。 去年、ノンさん、ターさん達と、東京に旅行する機会があった。のっけから、ハプニング?ノンさんの車が新青森駅に着かない。ようやく駐車して、すれすれで新幹線に飛び乗った。 優しくて、強いノンさん。 明るくて、元気なターさん。 これからも、よろしくお願いします。
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