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そう高校は麗奈にとって楽園以外の何物でもなかった。
麗奈はクラスのスクールカーストの頂点に君臨する超人気者だった。
だから・・・たとえ自分が青耳になってしまっても、自分を慕うクラスメイトからは決して見捨てられることはないだろう・・・。それが麗奈の希望的観測だった。
高校に着き、クラスのみんなを信じながら・・・それでも恐る恐るドアを開ける麗奈。きっと麗奈をいつものように爽やかな笑顔が迎えてくれると信じて。
教室に入った麗奈は努めて明るく振舞った。
「みんな、おはよう!」
するとだった。麗奈の青耳に気付いたクラスメイトの顔が引き攣った。
【麗奈・・・・青耳になったんだ。これって心の声が読める怪異なのよね。こいつもう人間ではなくて妖怪の一種かよ。妖怪麗奈!プッ!ウケルわ】
【うわっ・・・あの都市伝説マジだったんだな。キショクワリィ!でもまさかあの麗奈が青耳かよ。こいつめっちゃ調子こいていたよなあ。スクールカーストの頂点だか何だか知らないが地獄に落ちていい気味だ】
【顔が美人でスタイル抜群、勉強が出来ても就職は厳しいでしょうね。どうするのかしら麗奈、進路。心の声を読んで喜ばれる職業・・・精神科の先生?でも病院はそんな奇妙な先生置きたがるかしら?】
【こっち来んなよ。でも距離は関係ないのか?俺が麗奈をオカズにしていたこともバレるんだろうな・・・あっイケネ!聞かれてるんだ】
麗奈の顔が引き攣った。
誰もが日々親愛の情を持って接してくれている仲間、親友とばかり思っていたのに・・・心の声を聞くと麗奈に対する誹謗中傷ばかりだった。
『私のスクールカーストの頂点と言うのは・・・幻だったの?』
麗奈は自分の席に座ると、顔を伏せて泣いたのであった。
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