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「柊介と佐伯くん、同じ部活だったんだね。」
学校からの帰り道、沙良がポツリと呟く。
「そっちこそ、水瀬と部活同じだろ?」
「同じ弓道部よ。今は生徒会だからあまり顔出さないけど…なんで知ってるの?」
「ランニング中に見えるから。」
事も無げに言う柊介に沙良はふうん、と興味無さげに相づちを打つ。
(あたし、この2年間の柊介のこと何も知らないんだなぁ…)
「今日会う人って沙良知ってるんだよね。」
柊介が話題を替えると、沙良は手を口に当てて考え込む。
「知ってるというか…生徒会の副会長だよ。まさか、吸血鬼だとは思わなかったけど。」
「その人…どんな人?」
「穏やかで吸血鬼のイメージと結び付かない人。柊介もあまり結び付かないけど。」
沙良の吸血鬼のイメージは冷酷で獰猛な感じだった。しかし、柊介も副会長も冷酷で獰猛なイメージは全くなかった。
「吸血鬼って他にいるのかなぁ…。副会長みたいに。」
「知らないだけでいるかもな。…会えばわかるみたいだけど…」
うーん…と首をかしげる柊介を沙良は少しだけ不安そうに見つめながら変わったきっかけを思い出していた。
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