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意図があまり分からず、沙良は目の前にいる結菜を凝視した。
「…そんなに緊張しないでよ。話をしたいだけだから。」
苦笑ぎみに喋る結菜に沙良は少し目をそらした。
「…沙良ちゃんは迷わなかったの?血をあげること。」
結菜の第一声に驚いて思わず目を合わせる。結菜の目は真剣そのものだった。
「…迷わなかったです。初めて見たとき襲われてもおかしくない状況だったけど、柊介は必死にあたしを傷つけないようにしてたんです。」
思い出すのは誕生日の出来事。
必死に沙良を守ろうとする柊介を見て恐怖なんて吹き飛んだ。
「その時思ったんです。"根本的な性格は変わってないんだ"って。だから一ミリも迷わなかった。」
そう言った沙良の目には一点の曇りもなくて結菜は逆に感心していた。
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