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「…どうして、彼女を連れてきたんですか?」
沙良たちと別れてから柊介は伊織に質問をした。想定内だったのか緩やかに笑いながら答える。
「結菜なら高梨さんの力になれると思ったから。…同じ立場としてね。それよりは…本城くんは吸血鬼のこと関心がないように見えるけど。」
言い当てられて言葉に詰まりながら返答する。
「関心というか…どうでもいいと思ってました。」
「それは、お兄さんのことがあるから?」
「そうです。…誰とも関わらなければ俺は覚醒しても大丈夫って思ってました。だから、沙良の告白も1度断った。でも…誕生日に怪我をした沙良を見て“血が欲しい“と思ってしまった。」
誕生日の日、抱き締めた時の沙良の少し揺らいだ顔が脳裏に浮かぶ。
「でも、襲わなかった。高梨さんを見たら分かるよ。」
「…理性をなくしかけてたけど、襲えないですよ。世界で一番傷つけたくない相手ですもん。…その相手から血を貰うとは想像してなかったですが。」
苦笑して柊介はまっすぐ伊織を見つめた
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