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伊織たちは沙良を見送った後、お互い第一印象を聞きあっていた。 「沙良ちゃんは相当の覚悟で彼氏と向き合ってる。あの子なら大丈夫だと思うよ?」 「高梨さんはね。だけど本城くんは必要以上に失うことを恐れてる。…お兄さんのことがあるから仕方ないのかも知れないけど…。」 神妙な顔をした伊織に結菜は気遣うように声をかける。 「お兄さんになにがあったか…わたしには分からないけど、少なくともお兄さんと本城くんは違うんじゃない?」 「…違うけど、本城くん側に吸血鬼に関する情報が少ないのがね。本人があまり興味なかったのが理由みたいだけど。…本は渡してくれた?」 それに軽くうなずく結菜に伊織は心底ほっとした。 「よかった。吸血鬼に関することが書いてあるから二人に役立つといいけど…」 「きっと大丈夫よ。」 そう言って結菜は伊織の手をぎゅっと握ったのだった
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