恐怖をなくす家

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黒い老婆が赤黒い塊を食べると、また低いうなり声が聞こえた。 「逃げなきゃ!!」 わたしは恐怖で体が動かなかった。 すると、ミカが私の手を引き、今にも腐って抜けそうな階段を駆け上がった。 二階はただ物置のようで、部屋の隅には古びた神棚や椅子が無造作に置かれ、かなりの年 月を放置されていたのか、札の貼られた壁は黒いカビや埃が積もっていた。 物置には一つだけ窓があって、そこから月の光が射していた。 「ケンジ、どうなったんだろう? まさか死んでないよね……?」 「わかんない」 「ユウスケも呪われちゃったのかな……」 「そんなわけないでしょ!」 「これからどうしよう……」 「わかんないよ!!」 「私たちも、呪われて死んじゃうのかな……」 「そんなわけないでしょ! 呪いなんてあるわけないじゃん!」 「……そうだよね」 「大丈夫だって。ここから出れるし、ケンジやユウスケだって無事だよ」 怖がる私を勇気づけてくれるミカの手も、私と同じく震えていた。 興味本位でこんな場所に来てしまった事を後悔した。 ミカは一つしかない窓を開けようとしたが、古く錆びているのかなかなか開きそうで開かない。     
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