9人が本棚に入れています
本棚に追加
黒い老婆が赤黒い塊を食べると、また低いうなり声が聞こえた。
「逃げなきゃ!!」
わたしは恐怖で体が動かなかった。
すると、ミカが私の手を引き、今にも腐って抜けそうな階段を駆け上がった。
二階はただ物置のようで、部屋の隅には古びた神棚や椅子が無造作に置かれ、かなりの年
月を放置されていたのか、札の貼られた壁は黒いカビや埃が積もっていた。
物置には一つだけ窓があって、そこから月の光が射していた。
「ケンジ、どうなったんだろう? まさか死んでないよね……?」
「わかんない」
「ユウスケも呪われちゃったのかな……」
「そんなわけないでしょ!」
「これからどうしよう……」
「わかんないよ!!」
「私たちも、呪われて死んじゃうのかな……」
「そんなわけないでしょ! 呪いなんてあるわけないじゃん!」
「……そうだよね」
「大丈夫だって。ここから出れるし、ケンジやユウスケだって無事だよ」
怖がる私を勇気づけてくれるミカの手も、私と同じく震えていた。
興味本位でこんな場所に来てしまった事を後悔した。
ミカは一つしかない窓を開けようとしたが、古く錆びているのかなかなか開きそうで開かない。
最初のコメントを投稿しよう!