恐怖をなくす家

4/14
前へ
/14ページ
次へ
除霊室の中は塵や埃が漂い、部屋の窓はカーテンが閉められ、部屋の上部にはしめ縄が飾 られお札が貼られていた。 しかも、他の部屋と比べられないほど冷たく張り詰めていた。 椅子が二つ向き合い、その中央には布がかけられた鏡があった。 「これじゃない?」 ミカがそう言うと、ケンジは布を躊躇なく取り去り、舞い上げた埃で咳き込んだ。 「確かに鏡だな」 鏡の表面は埃と汚れでよくは見えなかったが、ライトを当てると四人の姿がぼんやりと映る。 噂の鏡はこれのようだ。 私たちは、噂通りに怖い話をした。 よくある、学校の怪談シリーズだったが、場所もあってそれなりに怖さを感じた。 話が終わると、鏡に向かって四人で唱えた。 「どうぞ、私の恐怖を差し上げます」 ・・・・ 私たちは鏡を見つめていたが、ぼんやりと自分達が映るだけで、他に何も映らなかった。 「出てこないじゃん!」 ミカが文句を言った。 「ここじゃないんじゃないのか?」 「ネットの情報じゃ、ここだったんだけど!」 「大勢で来すぎたかな」 「ま、予想してたけどな」 私は、正直ほっとしていた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加