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除霊室の中は塵や埃が漂い、部屋の窓はカーテンが閉められ、部屋の上部にはしめ縄が飾
られお札が貼られていた。
しかも、他の部屋と比べられないほど冷たく張り詰めていた。
椅子が二つ向き合い、その中央には布がかけられた鏡があった。
「これじゃない?」
ミカがそう言うと、ケンジは布を躊躇なく取り去り、舞い上げた埃で咳き込んだ。
「確かに鏡だな」
鏡の表面は埃と汚れでよくは見えなかったが、ライトを当てると四人の姿がぼんやりと映る。
噂の鏡はこれのようだ。
私たちは、噂通りに怖い話をした。
よくある、学校の怪談シリーズだったが、場所もあってそれなりに怖さを感じた。
話が終わると、鏡に向かって四人で唱えた。
「どうぞ、私の恐怖を差し上げます」
・・・・
私たちは鏡を見つめていたが、ぼんやりと自分達が映るだけで、他に何も映らなかった。
「出てこないじゃん!」
ミカが文句を言った。
「ここじゃないんじゃないのか?」
「ネットの情報じゃ、ここだったんだけど!」
「大勢で来すぎたかな」
「ま、予想してたけどな」
私は、正直ほっとしていた。
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