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黒い老婆が、ゆっくりとこちらを見た。
ローブで顔はよく見えないが、シワだけがよく見えた。
「アナタタチノ恐怖モイタダキマスヨ」
と、真っ黒い口でニヤリと笑った。
「ヤバイ!! とにかく、二人とも外に出るんだ!!」
「でも、ユウスケはどうするの!」
「俺が連れて行く! 先に行って、エンジンをかけといてくれ!!」
ケンジはユウスケのポケットから車の鍵を取り、私に投げた。
「うん、わかった!!」
ケンジがそう叫び、私とミカは玄関に向かって走りだした。
玄関に向かう途中、振り返るとケンジがユウスケの体を起こしているのが見える。
黒い老婆は、どうやらまだ何もしてこないようだ。
ただ、禍々しく不気味に笑いながら立っていた。
「うそ!!開かない!!」
その声で、私は玄関のように視線を戻すと、開けておいた玄関のドアが閉まっていた。
「わたし、ドア開けておいたのに……」
「そんなのいいから!手伝って!」
ミカに急かされ私も手伝ったが、閉まったドアはビクともしなかった。
「どうしよう……。閉じ込められた……」
ミカの顔が恐怖でひきつっていた。
「ぐあああああああああ……」
私たちの背後でケンジの声が聞こえた。
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