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振り返ると、除霊室のドアの前で宙吊りのケンジが見えた。
もがくケンジの首には、除霊室の周りに飾られていたしめ縄が巻きつき締め上げているようだ。
ケンジは必至でそれを解こうと暴れている。
「ぐがががががが……」
ケンジの体が徐々に天井に向かって持ち上げられ、足元では黒い老婆がニヤニヤと笑いながら見上げていた。
「ケンジを助けないと!!」
「待って! 死ぬ気?」
「でも、このままじゃ、ケンジが死んじゃう! ユウスケだって!」
「そ、そうだけど……」
ケンジの体は、ここからでは下半身しか見えないほど、しめ縄で持ち上げられていた。
「た……すけて……。し……たく……い」
かすかに、ケンジの声が聞こえた。
黒い老婆はニヤニヤと笑いながら、ケンジの方へ手を伸ばした。
ボトッ
黒い老婆の手の上に、また赤黒い塊が落ちた。
その途端、「アハハハハハハハハハハハ!!!」というケンジの笑い声が聞こえた。
私たちは、その声に戸惑った。
「ヘヘヘヘ……。気持ち……いぃ」
笑い声の後、さっきまでもがいていたケンジの足がダランと垂れ下がり、動かなくなってしまった。
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