煙々羅の禁煙

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 妻の願い通り、男は煙草を吸い続けた。  一度、好奇心で一週間ほど禁煙したところ、妻の体調が思わしくなくなったため、それ以降は禁煙しようとしたりせず、むしろ煙草の量を増やしていった。  そんな生活を続けていて、長生きできるはずもない。男は肺がんになり、あっさり他界してしまった。  男の遺産を相続した妻は、にたりにたりとまるで煙が歪んだような笑みを浮かべるのだった。
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