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お互いに礼をして、楯岡が蹲踞をする。
「始め!」
中山の掛け声で中堅同士の試合が始まった。
蹲踞から立ち上がろうとする楯岡。
「ウリャーッ!」
と、その瞬間を待っていたかのようにハジメが楯岡に突っ込んで行った。
「――!?」
明らかに対応が遅れ、立ち上がりながら後ずさりする楯岡。
《ダンッ!》
防具のまま楯岡に体当たりするハジメ。
《ドンッ!》
尻餅を着く楯岡。
その上に馬乗りになり面の上に拳(こぶし)を振り上げるハジメ。
「ハジメッ!」
咄嗟(とっさ)に亮が呼びかける。
「分かれ!」
中山の声が掛かる。
ハッとしたように楯岡から離れるハジメ。
「分かれって?」
俺はかなたに訊いた。
「本来は鍔(つば)ぜりあいなんかで、膠着(こうちゃく)した時に選手を離す言葉なんですけど、あんな状態でのは初めて見ました」
あれもハジメの作戦なのか?
それとも自分を抑えられないくらいに、込み上げるものが有ったんだろうか?
「妙心館、合氣道側の一本は竹刀を奪った時か、合氣道に関する技を使った場合のみだ。
今のは技とは認められないが」
「分かってます。まさか避けられないとは思っていなかったもので」
「テメェッ!」
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