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楯岡がハジメの言葉に反応して詰め寄る。
「楯岡、開始線へ戻れ」
「なんだとテメェ! 名ばかりの顧問のクセに」
「審判に暴言を吐くと、失格になるぞ」
「楯岡、落ち着け」
「チッ」
片倉の言葉に大人しく引き下がる楯岡。
て言うか、あの片倉、一言であのイキりたった楯岡を黙らせるなんて。
一体、どれだけの実力者なんだ?
再び開始線で対峙する二人。
「妙心館、今度からは剣道部が蹲踞から立ち上がるまでの攻撃は禁止する。いいね?」
「はい」
頷くハジメ。
確かに、さっきのは不意打ちっぽかったから仕方ないか。
さっきの楯岡への対応と言い、剣道部の顧問は名ばかりと言われてるとはいえ、中々フェアプレイ精神があるみたいだな。
「始め!」
主審の号令が掛かって試合再開だ。
今度はハジメも楯岡が蹲踞から立ち上がるのを静かに待っている。
ハジメ、今度は何をする気だ?
「ヤァーッ!」
氣合いを掛ける楯岡。
ハジメは静かに動かない。
もうさっきので手の内は出し尽くしたのか?
「ヤァーッ!」
もう一度氣合いを掛ける楯岡。
向こうもハジメが何かすると思って警戒してるんだろうか?
まだハジメは動かない。
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