第十八章 帰るべき場所(前編)

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 楯岡がハジメの言葉に反応して詰め寄る。 「楯岡、開始線へ戻れ」 「なんだとテメェ! 名ばかりの顧問のクセに」 「審判に暴言を吐くと、失格になるぞ」 「楯岡、落ち着け」 「チッ」  片倉の言葉に大人しく引き下がる楯岡。  て言うか、あの片倉、一言であのイキりたった楯岡を黙らせるなんて。  一体、どれだけの実力者なんだ?  再び開始線で対峙する二人。 「妙心館、今度からは剣道部が蹲踞から立ち上がるまでの攻撃は禁止する。いいね?」 「はい」  頷くハジメ。  確かに、さっきのは不意打ちっぽかったから仕方ないか。  さっきの楯岡への対応と言い、剣道部の顧問は名ばかりと言われてるとはいえ、中々フェアプレイ精神があるみたいだな。 「始め!」  主審の号令が掛かって試合再開だ。  今度はハジメも楯岡が蹲踞から立ち上がるのを静かに待っている。  ハジメ、今度は何をする気だ? 「ヤァーッ!」  氣合いを掛ける楯岡。  ハジメは静かに動かない。  もうさっきので手の内は出し尽くしたのか? 「ヤァーッ!」  もう一度氣合いを掛ける楯岡。  向こうもハジメが何かすると思って警戒してるんだろうか?  まだハジメは動かない。  
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