第十八章 帰るべき場所(前編)

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「どうしたハジメ? お前はメンバーからちゃんと外してあるから心配するな」 「いや、そうじゃなくて……俺も入れてくれないかな」 「ハジメ……」 「俺が入ったら足手まといだってことは分かってる。でもさ、今逃げたらこれからもずっと逃げて行かなきゃならなくなるんじゃないかって」 「……そっか、やる氣になってくれて嬉しいよ」 「ホント、ハジメくん。見直したわ」 「いえ、そんな……」  俺と亜美さんに持ち上げられて照れているハジメ。 「それじゃあ、わたしの代わりに入ってくれる? いくら女子でも高校生の黒帯が入ったんじゃクレーム入るかも知れなかったし」 「あと、それと――」 「良かったな! 俺達みんなでフォローもするからな」 「亮……俺――」  ハジメはまだ何か言おうとしたが――。 「一之瀬、向こうの順番ってどんな感じかわかるか?」  なぜか亮が焦って話題を変えるようにかなたに話題を振った。 「はい、片倉先輩がいつも大将で楯岡先輩と小山田先輩がその時々で副将と中堅に入ってます」 「そうか。てことは女子ふたりが先鋒、次鋒になる確率が高いな」 「はい、女子もいつもの通りなら早紀子先輩が先に出て来るはずです」
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