第十八章 帰るべき場所(前編)

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「そうか、一之瀬、先鋒行けるか?」 「……はい、頑張ります」 「いいか、最初は剣道対剣道だ。一之瀬は合氣道より剣道のほうが慣れているし、このほうが勝つ確率が高い」 「はい」  返事をするかなた。 「次はマサル」 「よし来た!」 「お前は、その体格を利用して接近戦だ。相手にいい打ち込みをさせるな。隙を見て投げ技に持っていけばなんとかなる」 「部長とは言え、相手は女子。少しは手加減した方がいいかな?」 「結城先輩は実力者です。男子部員にも勝つことがありますから」 「そ、そうなんだ」  かなたの言葉に少しビビるマサル。 「そして中堅がハジメだ」  静かに頷くハジメ。 「とにかく引き分けでもいいから時間いっぱい使って、相手の隙を狙え」 「分かった」 「次、副将は長尾」 「俺が副将……」 「そうだ。お前は一番太刀取りの稽古をしてきた。中堅戦まででとにかくアイツらのスピードに目を慣らせ。面を打たせてうまく投げに持って行くんだ」 「自信無いけどとにかくやってみるよ」 「大丈夫、お前なら出来るさ。後は大将の俺に任せておけ」  こういう時の亮って、リーダーシップが有ってホント頼もしいよな。  俺も見習わないと。
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