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停車してたかもしれないが、こっちは確認できてなかったんだからな。ていうか、軽のぶんざいで、白バイなめんな、タコが。
宙王は迷わず、軽を追った。
次の信号は青だ。
軽は、まっすぐ走り続ける。
そのあとに、ピッタリ、ついていく。
そして、その次の赤信号で停車したとき、宙王は軽のまどをたたいた。
「ちょっと話があるので、ついてきてもらっていいですか?」
運転者は女だ。
髪の長い、やせた女で、妙に顔色が悪い。
ほら、見ろ。白バイなめるからだ。今ごろ青くなってんじゃねえよ。クソが。
女は、うなずいたように見えた。
どこかで見たことがあるような気もしたが、知りあいではない。
宙王は軽の前に出て、ウィンカーを右に出した。
そこに大型モール店がある。
以前は、よく、そこの駐車場を使わせてもらった。
信号が青に変わる。右折した宙王は、目をうたがった。
白い軽は直進していったのだ。
まさか、白バイをふりきろうとするなんて。なんてバカな女だ。
急いで、宙王は反転し、軽を追った。
血がわいてくる。ワクワクする。
これぞ、白バイの、だいごみだ。
法を犯すやつらに制裁をくわえる自分は正義の味方だ。
子どものころ、夢中になった戦隊物のヒーローそのもの。
ウットリしながら、追っていく。
あたりまえだが、軽自動車がナナハンをふりきることなんてできない。
みるみる、追いつく。
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