∵第2話 恋という名の種が芽吹きました。

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「あー、ドキドキするわ」 小さな声で、顔を上げながら呟く課長。 課長を見上げてみるが決して目線が交わることはない。 「どうしたんです?」 「ん?こっちの話」 「よくわからないです」 私の問いは容易くも流されてしまった。 さて、どうしたものかと考えている最中。 「高橋さん、意外に胸あるわね」 少し頭を下げ、私に耳打ちする課長。 内容が内容だけに、一気に羞恥心が襲う。 「なっ…!」 「しー、周りに聞こえるわよ」 咄嗟の一言に動揺を隠せず声が出た。 しかし課長はそれを楽しむかのように悪戯な笑みを見せながら、空いた手を口元に持っていき人差し指を立てる。
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