∵第2話 恋という名の種が芽吹きました。

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見つめ合うこと数秒。 この数秒さえ長く感じさせるのは私が課長を意識しているせいか、それとも課長が単に魅力的だからか。 丁度電車が停車し、近くのドアが開く。 すると課長はパッと手を放し私の腕を強引に引く。 「え、ちょ、課長!?」 突然のことで頭が追い付かない。 課長は私の腕を引いたままその駅で降りる。 私の最寄り駅はもう一つ先の駅だ。 ホームに降りて人を掻き分けながら、でも引かれる腕は放されないままずんずんと進んで行く。 課長はいつの間にか用意していたかの如く速やかに定期を改札に翳し、私も慌てて定期を掴まれていない方の手で取り出し改札を後にする。
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