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午後の勉強会が始まったが、私の頭には何も入ってこない。
さっきの中クンの言葉のせいでどうしても勉強に集中できない。
正面に座っている中クンが気になる。
中クンとはほとんど接点がなかったのにどうしてあんなことを言ってきたんだろう?
私なんかのどこがいいのだろうか?
「……い、……結、……結ってば」
咲希ちゃんの声で現実に引き戻された。
「結、聞いてた?」
「ごめん、ぼーっとしてた」
「もう、ここの問題、中くんが教えてくれるって」
「え、どこの問題?」
「結が前に解き方が分からないって言っていたやつよ。もう、しっかりしてよね。月曜日から中間テストなんだから」
「う、うん」
「結、どうしたの? お昼食べてから何か変だよ。具合でも悪い?」
そう言って咲希ちゃんが私の額に手を当てた。
「大丈夫、ちょっと考えごとをしてただけだから」
「ならいいんだけどね。熱は……ないみたいね」
私の額から手を離すと咲希ちゃんはそう言った。
中クンが問題の解き方を解説してくれた。
えっ、分かりやすい。
優哉の言うとおり、中クンって頭いいんだ。
「どう? 結、咲希、颯太の説明は分かりやすいでしょ。僕もいつも教えてもらってるんだ」
だから優哉は小テストでもいい点数が取れるのかな。
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