10人が本棚に入れています
本棚に追加
/400ページ
起き上がって、机の上の経営の本に手を伸ばします。
その時、ふと思い出しました。
「あ!あれ、どこに入れたっけ?」
慌てて今日持って行ったカバンを漁ります。
「あった!!…はぁ~良かった…」
焦りました。一応、預かり物です。
無くしたら一大事でした。
手の平に乗せてじっくり眺めます。
「やっぱり綺麗だなぁ…」
2週間の期限付きで預かった白く輝く巻貝は、部屋のライトを浴びて、虹色にも見えました。
中を覗くと、所々赤い斑点があります。
何の巻貝なんだろう、と携帯で調べると「高瀬貝」というやつのようでした。
ボタンにしたりするぐらい、磨くと綺麗な貝です。
ちょっと企んだのは悪かったかな…
今頃反省しました。
どうしても波の音を持ち帰りたくなってしまったのです。
耳に当てると、波の音が聞こえました。
穏やかに眠れそうな音です。
2週間、誰も取りに来なかったら良いのにな…
また自分勝手なことを思いました。
そしたら貰えるのに、と思ってしまいます。
「あーぁ、嫌なやつだなぁ…」
呟いて、経営の本を少し読み進めました。
さて、明日も休みです。
今日こそ起きずに寝たいな、と思いながら電気アロマを焚き、部屋のライトを消します。
最後に巻貝の波音を聞きました。
最後に頭に浮かんだのは今日見た絶景でした。
最初のコメントを投稿しよう!