3.巻貝

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起き上がって、机の上の経営の本に手を伸ばします。 その時、ふと思い出しました。 「あ!あれ、どこに入れたっけ?」 慌てて今日持って行ったカバンを漁ります。 「あった!!…はぁ~良かった…」 焦りました。一応、預かり物です。 無くしたら一大事でした。 手の平に乗せてじっくり眺めます。 「やっぱり綺麗だなぁ…」 2週間の期限付きで預かった白く輝く巻貝は、部屋のライトを浴びて、虹色にも見えました。 中を覗くと、所々赤い斑点があります。 何の巻貝なんだろう、と携帯で調べると「高瀬貝」というやつのようでした。 ボタンにしたりするぐらい、磨くと綺麗な貝です。 ちょっと企んだのは悪かったかな… 今頃反省しました。 どうしても波の音を持ち帰りたくなってしまったのです。 耳に当てると、波の音が聞こえました。 穏やかに眠れそうな音です。 2週間、誰も取りに来なかったら良いのにな… また自分勝手なことを思いました。 そしたら貰えるのに、と思ってしまいます。 「あーぁ、嫌なやつだなぁ…」 呟いて、経営の本を少し読み進めました。 さて、明日も休みです。 今日こそ起きずに寝たいな、と思いながら電気アロマを焚き、部屋のライトを消します。 最後に巻貝の波音を聞きました。 最後に頭に浮かんだのは今日見た絶景でした。
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