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「りんちゃん、海に行くのは良いんだけどね?」
「ん?何?」
首を傾げるりんちゃん。私は、前髪の先、左目の下の泣きボクロが色っぽいなぁ、と思いました。
「海岸歩いたり、眺めるのは割と好き。あ、釣りぐらいならできる。でも、海には入れないの。」
「?海アレルギー?」
じゃあ、行かない方が良いか?って悩んでくれるりんちゃん。優しいなぁ、と思いながら答えます。
「アレルギーじゃないんだけどね?トラウマ、かな」
海で溺れたわけじゃないんです。プールでなら、問題なく泳げます。海に入るのがダメなんです。
「うーん?糸が海に入らなければOK?」
「うん、ごめんね?」
「ううん、全然良いけど。糸、暇じゃない?」
「眺めてるだけでも楽しいよ?」
しばらく悩んだりんちゃん。
「そ?元麿がバイトしてる間だけ、私と遊んでくれたら嬉しいんだけど、良い?」
「海に入らなければ大丈夫」
「じゃ、お願い!」
「うん」
「ありがと!」
花が咲くように笑ったりんちゃん。
りんちゃんは、色っぽい外見によらず男前。
でも、優しくてちょっと寂しがり屋です。
こうして、私は元麿くんがバイトする白砂海水浴場へ、りんちゃんにお供することになりました。
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