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『俺は、顧問弁護士になって、初めて光の家の事情を知った。
宝田氏、光の育ての父親は、光を引き取ることで重い十字架を背負ったんだ。
けれどそのことは、光のために封印されていた。
だけどさ、俺はそれじゃいけないんじゃないか、って思う。
なぜなら、光自身のことや、光の家族のことだからだ。
小枝子さんのことで、光が苦しんだことも聞いた。それなら……
光は自分の生い立ちや家族と向き合うべきだと思う。ましてや、会社の再建を考えているのなら、あの書類は避けて通れない、って思ってる』
音無さんは今まで聞いた事がないくらいに緊張した声で力説している。
それだけその『パンドラ』とやらは深刻な内容なんでしょうね。
でも私にはそんなもの、関係ない。
何があろうとも、光を支えるだけだから。
「そうですか……。
まあ、光が決心した以上、私は特に反対もしませんけどね。
ところで……」
私は光の部屋で話を聞いたときから、いや、昨日からずっと疑問に思っていたことを口にした。
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